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- 現代語訳
御氣ニ入被召遣、諸事之挙動無餘並
故近付罷在候處、素より御志之勵、染学
文和漢ニ通、筆藝ニ付而ハ御国元ニ而段々
稽古有之、数年之功學廣ク相募、誠以
宝成身与感入申候、依之當嶋若き者共申
勧、此程致上国候者ハ勿論、未其縁不期
者共ニ茂、以書中為致勢約、毎歳之便毎
心事書寄せ差遣指南請来候処、一旦之
過ニ付而、只今之仕合何共残念至極無申
計候、然共人間之盛衰者、吉凶善悪[ ]
表裏反覆之定理ニ而、古今之例も無限
候得者、運命之開閉、先様難計身命相保候ヲ
大切之儀候處為差當患難ニ而、如何計
心力を禿候哉与千万痛敷持申候、承候得者
其元ニハ近付之方不罷居、殊更配所茂
遠與那国江召定被置候、田舎邊之儀、
とくに(親方の)お気に入りとして勤務しており、諸事のふるまいにも不足はなかったため、お近づきとなっていたところ、もとより志を励まし、学文・和漢に通じ、筆芸については御国元(沖縄島)で様々に稽古し、数年の間に広く学び、本当に宝のような人物であると深く感じ入っていた。それゆえ、この島(宮古島)の若者たちもすすめて、上国した者はもちろん、まだその機会に恵まれぬ者たちにも、書中をもって約束させて、毎年の便ごとに心中を書き寄せて送付し、指南を求めてきたところである。しかし、一旦の過ちにより、現在の身の上は何とも残念至極で言葉もない。ただ、人間の盛衰は、吉凶・善悪[ ]、表裏一体のものであり、古今の例も限りはない。そのために運命の開閉は計りがたく、身命を保つことの大切さを思えば、現在の患難により、どれほど気力を失っているであろうかと、非常に痛ましく思っている。聞いたとこによると、そちら(八重山島)には近づきの者がおらず、ことさら配所も遠き与那国へ召し定められたとのことであり、田舎辺りのことで、